今回は、2016年にアメリカで製作された映画「パトリオット・デイ」を観た感想を載せたいと思います。この映画は、2013年にアメリカマサチューセッツ州ボストンで、ボストンマラソン大会中に実際に起こったテロ事件を題材にしたサスペンス・ヒューマンドラマです。
最も歴史の古い街のひとつ、マサチューセッツ州ボストン
アメリカのマサチューセッツ州は、英語では、the Commonwelth of Massachusetts といい、Stateの代わりにCommonwealthを使用するようです。米国の州では他に、ペンシルバニア、バージニア、ケンタッキーの各州が同様に表記されます。
Commonwealth コモンウェルスを辞書で引くと、
- 国家
- 連邦
- 州
- 団体
といった順で訳語が当てられており、「共通の目的と利益で結ばれていて、かつ自治が行われている」国や団体という意味があるようです。
ここではアメリカの歴史を紐解くわけではありませんが、ボストンと言えば、アメリカ独立戦争の緒戦が繰り広げられた地であることやアメリカでも最古の街のひとつであることなどが有名です。また、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学に代表されるように教養と学問というイメージが色濃い都市でもあります。
あと、いろいろと調べていてもっとも気に入ったのは、アメリカの都市の中でも、
ボストンはかなり安全な街のひとつ
であるという部分でした。この映画を観る前からボストンはとても良い街だという噂を耳にしていたのですが、今回のパトリオット・デイの中で表現されていたボストンっ子の連帯や苦難に負けずに悪に立ち向かう姿を目にし、ますます一度は訪れてみたいと思うようになりました。
今回とりあげた映画「パトリオット・デイ」の舞台となったのが、このボストンであり、2013年に起こった爆破テロ事件を題材にした実話にもとづくストーリーです。
映画のあらすじ
この映画は、一言でいうとボストン市民の連帯と共助、確かなプライドと正義への強い思いが描かれた物語です。平和な暮らしをおくっていた市民を突然襲った卑劣で残酷なテロという許し難い行為に直面した時、人々は、傷つき、不安と恐怖に駆られながらも徐々に平静を取り戻し、一致団結します。
まだどこかに犯人が潜み、どこかで爆弾が炸裂するかも知れない恐怖と戦いながら、行政や法執行機関の担当者たちは犯人の手がかりを得ようと懸命に捜査を続けます。また、愛する人や自らの体の一部を吹き飛ばされ、心と体に深い傷を負った人々は支え合い、慰め合いながら懸命に生きようと努力します。
この映画の一番いいシーンは、1時間47分58秒ごろから始まる3分間に凝縮されていると思います。逃走中のテロ実行犯の一人が発見されないまま夜が明けかけ、疲労感が漂う中、ボストン警察署長が主人公のトミーに「(今回のテロは)防げたと思うか?」と問いかけたのに対して、彼はこう呟きます。
悪魔と戦う武器は一つしかない。愛です。
悪魔は愛を奪えない。
(中略)
互いに抱き合い、愛の力で戦うんです。
そうすれば悪に負けない。
映画「パトリオット・デイ」
私は、このセリフがとても心に沁みました。
これらのセリフの背景では、卑劣な爆破テロの犠牲となりながらも辛くも一命をとりとめた登場人物たちが病院で再会を果たすシーンや、犯人との息も詰まるような銃撃戦を終えて自宅に戻った老警官を妻が出迎え互いに抱擁するシーンが映し出されます。
絶望の淵から人々を立ち上がらせてくれるのは、愛の力しかないということですね。私自身、まだそこまでの絶望感を味わうような経験をしたことがありませんので、軽々とは言えませんが、本当にそんな経験をしてしまった時、悪魔に魂を奪われることなく生きる力を与えてくれるのは愛しかないのだと、この映画を観て強く思いました。
不幸のどん底で人が強くいられるために
人生は、良いことと悪いことが交互に起こる、とよく言います。くじが当たったり、おまけしてもらったり、何かをプレゼントしてもらったり、など。でも、そんな良いことの後で、電車に乗り遅れたり、忘れ物をしたり、もしかしたらギックリ腰になってしまうことだってあるかも知れません。
良いことの後には、必ずと言っていいほど悪いことが起きるものだ。私は、最初からそんな風に考えるようにしています。だから、嬉しいことがあったとしても、ヌカ喜びせず、小さな幸福を与えてもらったことに感謝するようにしています。
また、何か悪いことが起きたとしても、必要以上に嘆き悲しんだり、恨んだりもしないようにしています。これは、きっともっとひどいことが起きるのをこれくらいで済ませてくれているんだ、と思うようにしています。
日常生活の中には、そんな風な出来事が日常茶飯事と言えるかも知れません。でも、たまたま応援に来ていたマラソン大会の会場で爆弾が炸裂するような、テロの現場に居合わせることは、本当に稀な出来事と言っていいし、確率からすればものすごく小さな、小さな確率です。
でも、もし、そんな出来事が現実のものとなってしまったとしたら。あなたの大切な人が怪我をしたり、重傷で病院に搬送されるようなことが起こったら。もし、あなたの夫や妻、あるいは大切な子供が手足を切断しなければならないようなひどい怪我をしてしまったとしたら・・・
アメリカの同時多発テロも、日本の東日本大震災も、誰も予想さえしないのに現実に起こってしまいました。この映画のテーマとなったボストンマラソンの爆破テロも、そこにいた誰も予想しなかったのです。
愛する存在が身近にいるということは、本当に幸せなことだと思います。でも、ある一瞬を境にその存在が目の前からいなくなってしまうことだってあるかも知れません。だからこそ、普段から、大事に、愛おしく想っている人には、その気持ちを素直に表現し、優しい言葉で話しかけることが、とっても大事なことだと思います。
この映画も観た後、そのことをとても強く感じました。
(了)
今回ご紹介した映画にご興味がある方はこちらを参考にしてください。