ここでは、仮定法の基本的な部分を理解したいと思います。
「もしも、〜なら/〜だったら」=仮定法
英語の文章には、仮定法を用いた表現がたびたび登場します。
仮定法とは、ドリフのコメディで昔流行った、
「もしも、〜なら/〜だったら・・・」
というアレです。
「もしもこんなラーメン屋があったら。。。」
「もしも具合の悪い居酒屋があったら。。。」
「もしもこんな一杯飲み屋があったら。。。」
見ませんでしたか?(笑)
「空想の世界」のことを話題にするときに使うのが仮定法
さて、仮定法はどんな時に使うとよい用法かというと、
スバリ、
空想の世界のことを表現したい時
の用法なんですね。
もし、現実のことしか話せないとしたら、ずいぶん窮屈な世の中かも知れません。でも、仮定の話として空想話やおとぎ話が表現できるとしたら、コミュニケーションの幅がグッと広がるし、なにより夢や願望を語ることができるのは素晴らしいことだと思います。
現実の世界のことであれば、
- 実際に起こる/起こっていること(現在形または現在進行形)
- 実際に起こったこと(過去形)
- 実際に起こるであろうこと(未来形)
を表現することができますが、
カッコ内に書いた「現在形または現在進行形」、「過去形」、「未来形」のことを英文法では時制(tense)と呼びます。時制についてはまた別のところで取り上げたいと思います。
仮定法を使うと、
- 私がもし総理大臣だったら・・・
- 宝くじで3億円当たったなら・・・
- もし世界一の美女と結婚できたら・・・
- etc.・・・
という風に、おそらくどんなことでも表現ができることになります。
現実味という点では難がありますが、創造力や表現力という点では、仮定法という用法があることによって、ものすごく多彩な表現が可能になると思いませんか。
仮定法の種類
次に、仮定法にも表現する内容によっていくつかのパターンがありますが、ざっくり言うと以下の3つを理解しておくと良いです。
仮定法の文章の基本的なスタイルは、上の図にもある通り、
if節(従属節)+主節
という2つの節*1で構成されています。
その際に、節の中で使われている動詞や助動詞の時制によって、現在形、過去形、過去完了形に分かれていて、表現する内容が異なってきます。
1)仮定法現在 or 現在進行形
推測を述べる話法ですが、if節で述べられる内容について実現の可能性がある場合、あるいは実際に起こりうるような場合には、仮定法現在形(または現在進行形)が用いられます。
もし、Aなら、Bする。
Aの可能性が高い、十分起こりうる、これから起きる可能性がまだある場合には仮定法現在形になります。
2)仮定法過去 or 過去進行形
if節で述べられる内容の実現性がなく、実際にはほとんど起こりえないことがらを表現する場合は、推測であっても過去形を用います。
もし、Aなら、Bするんだけど。
Aの可能性がない、将来起きる可能性もない場合には仮定法過去形になります。
3)仮定法過去完了
仮定法過去完了は、過去の出来事を推測する話法です。
例)
去年の試験に合格していれば、・・・
昨日お店であの洋服を買っていれば、・・・
駐車する時にもう少しゆっくりバックしていれば、・・・
といった風に。
これは、日本語の場合「あの時〜していれば、〜だったのに」みたいな、後悔先に立たず的な表現をしたいときに使える用法になります。
仮定法が用いられる場面はどんな時?
ここまで仮定法の基本的なことがらについて見てきましたが、仮定法が頻繁に用いられるのは、具体的にどのような場面でしょうか。
現実のことを話すのと違って、仮定法は「もし、〜なら/〜だったら」という風に、今現在は起こっていないことを想像、推測する用法です。ですから、そのような想像や推測をテーマとするようなジャンルで多用されることが多いと思います。
つまり、
のようなジャンルです。
先ほどの仮定法の種類でいうと、仮定法現在や仮定法過去による表現が多いジャンルと言えます。
次に、仮定法過去完了という用法については、現在から見て「過去」を仮定する時に使うものです。いわゆる、過去を振り返理、あの時は「こうだったんじゃないか」「ああだったんじゃないか」と推測する時の用法ですから、回想シーンなどでよく利用される話法です。
映画のセリフや小説の中には、このような仮定法を使った表現が随所に出てきます。次回は、そういう場面で使われている表現を集めてみたいと思います。
*1:節は2語以上の単語の集合体で、この場合S(主語)とV(述語)で構成される文章を指します。主節は、単体で意味を成すもの、従属節は、主節を説明するものですが、それ単体では意味を持ちません。)